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「任務を投げるつもりはない。 ただ、個人的なことなのだ。 …すべての判断はお前に任せる。 これでは、納得してもらえないか?」
個人的なこと・・・?
おれはシビュラを傍で見ていて、ずっと感じていたことを思い切って尋ねてみた。
「・・・貴女は、この島の人間ではないのか?」
「隠すこともない、お前の言うとおりだ。 私は教化政策によって故郷を失った。 家を追われ、親は目の前で炎に焼かれた。 私は、命以外のすべてを奪われた。」
シビュラはいつものように無表情だった。 幼い自分の身に起きた悲劇を嘆くわけでなく、怒るわけでもなく、真実を淡々と語った。 おれは、シビュラにかける言葉が見つからなかった。
今はローディス教会の人間とはいえ、きっと踏みにじられた故郷を目にして心穏かではいられないはずだと思った。
「勘違いするな…、 今さら、郷愁の念になどにかられぬよ。 ただ、一つだけ…この島にいる間に 確認しておきたいことがあってな。」
おれはシビュラの思いを察し、大人のふりをして彼女に言った。 「貴女の想いがあるなら・・・行ってほしい・・」 本当のことをいえば、おれは彼女のことを心のどこかで頼りにしていて、オストレア城を目の前にしてなぜ部隊を離れるのかと泣き言を口にしてしまいそうだったのだ。 でも自分の気持ちは心の奥にしまった。
「シビュラ・・・気をつけて・・・。」
「心配するな。すぐに戻る 」
シビュラはその夜のうちに部隊を離れたのだった。
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